データ消去
友人の話ですが、新しいパソコンを購入したので、今まで使っていたパソコンが余ってしまったそうです。古いパソコンは他の人に譲ることにしたそうですが、パソコン内に保存したままになっている自分のデータを消去してほしいとのこと。
最近はリサイクルショップに持っていけば、データの消去を行ったうえで販売すると宣伝していますが、データを本当に消去しているかどうかは確認できません。実際、リサイクルショップで買った「データ消去済パソコン」に、前所有者のデータがごっそり残っていたこともありました。パソコンを処分する前に、きっちりデータの消去を確認したいものです。
パソコンのデータの場合、ゴミ箱を空にしただけではデータを完全に消去できません。パソコンのデータは、データを記録している場所を管理する部分(目次)と、実際のデータを保存している部分(本文)に分かれていますが、「ゴミ箱を空にする=目次を消去する」に過ぎません。
例えで考えてみましょう。すべてのページが鉛筆で書かれているノートを想像してみてください。そのノートには目次がついていて、どのページにどんな内容が書かれているのかすぐに分かるようになっています。ゴミ箱を空にすることはちょうど、目次を消しゴムで消すようなものです。目次ガないから本文が参照しにくくなりますが、根気よくページをめくっていけば、本文は読み出せるのです。本文の内容は何も変更されていません。
パソコンのデータの場合、「古いデータを消す→新しいデータを書き込む」という作業は不要です。「新しいデータを書き込むだけで、同じ領域にあった古いデータは消えてしまう」のです。だから、データを消去するときに、いちいち古いデータを消さないのです。
「リカバリすると購入時の状態に戻るから、個人情報は完全に消えている」これは間違いです。リカバリしても、古いデータを取り出せる場合があります。ノートの例えで言うと、リカバリとは、ノートの本文の前半部分に決まった文字を書き込む作業です。ノートの後半に書かれた文字は、目次には載っていませんが、しっかりと残っているのです。
パソコンのフォーマットは通常、論理フォーマットという方法で行います。これは、本の目次を消しゴムで消すような処理です。論理フォーマットしただけでは、かなりのデータが残っています。一方、物理フォーマットという方法もあり、これは目次部分も本文部分もすべて消しゴムで消すような処理です。一般的に、データ消去というのは物理フォーマットを行うことで、すべてのデータ保存領域に0を書き込む作業です。(厳密には0を書き込む作業はゼロフィルであり、物理フォーマットとは異なりますが、ゼロフィルは広い意味で物理フォーマットと言われています)
データ消去ソフトはCDから起動するのが一般的です。ちょうど停車しないと車のタイヤ交換ができないのと同じように、パソコンのハードディスクから起動した状態では、ハードディスクのデータ消去はできません。専用のツールををCDから起動し、物理フォーマットを行いことで、データを完全に消去することができます。
今回は、フリーソフトで対応してほしいとのことだったので、DBANというツールを紹介しました。@ITの記事でも紹介されています。パソコンをCDから起動するようにBIOSを変更したり、メニューが英語だったりと少しハードルが高めです。
製品版のデータ消去ソフトなら、日本語で操作できたり、サポートがついたりと、安心ですね。
データ消去ソフトを使うときに注意しなければならないのは、必要なデータの入ったドライブを削除してしまわないことです。一台のパソコンに複数のハードディスクをつないでいる場合など、注意しましょう。取り外せるものは取り外しておくことや、あらかじめバックアップを取っておくことが有効です。
作業に自信のない場合は、ご依頼ください。お客様の目の前で、何をしているかをご説明しながらデータ消去作業を行わせていただきます。